2月15

リンクライン

従業員を45.5人以上雇用している企業には、全従業員のうち2.2%以上の割合で障がい者を雇用することが義務付けられています障がい者雇用の推進を任された人事担当者なら、”特例子会社”という選択肢を一度は目にするでしょう。

シャノンは、SHANON BtoB Marketing Conference 2019で、ご参加者様にステッカー入り石鹸をお配りします。石鹸の製造をお願いした株式会社リンクラインもまた、障がい者雇用の促進を目的に設立された特例子会社です。

25名の障がい者による手作業で作られた高品質石鹸は、オリジナルブランド、OEMともに引き合いが絶えません。

リンクラインは設立わずか5年で黒字転換するという異例の成長を見せた、障がい者雇用の成功事例としても注目されています。代表取締役の神原薫氏に、立ち上げの経緯や障がい者雇用に求められることを伺いました。

「特例子会社」とは?リンクライン立ち上げの経緯

神原さん

ーーなぜ特例子会社を立ち上げたのですか?

リンクラインの100%株主である株式会社コムテックで人事担当をしていたころに、障がい者雇用の推進を任されたことがきっかけでした。ちょうど、障がい者雇用義務が大きく叫ばれていた時代。企業としての責任を果たさなければ、社会的な信用を失いかねない状況でした。

コムテックは情報処理サービスをメイン展開する企業。クライアントとの細やかなコミュニケーションや対応力が求められるという業務特性上、障がいを持った方に任せられるポジションがありませんでした。

本業での障がい者採用が難しいことから、特例子会社の設立を視野に入れました。特例子会社とは障害者雇用率の算定において親会社の一事業所と見なされる子会社のことで、日本全国に500社程度しかありません。

先行事例をもつ企業への視察やヒアリングを経て、社長に直談判。2010年10月に子会社を設立し、12月に特例子会社の認定を厚生労働省より受けました。

ーー主事業に石鹸の製造を選んだのはなぜでしょうか?

障がい者が、自分の仕事に誇りを持ちながら働けそうだと思ったからです。

障がい者雇用の現場視察で目の当たりにしたのは、仕事内容があまりに制限されているという課題でした。多くの企業では書類コピーや商品の袋詰めなどの単純労働を障がい者に割り当てています。そのような状況下では、仕事を選ぶ楽しさや、働くことの喜びに触れられる機会があまりに少ない。悶々とした視察を繰り返している中で、障がい者が多く活躍する石鹸工房と出会いました。

障がい者でも高品質な石鹸を作り、実際にお客さんに手に取ってもらえる。そして何より、従業員全員がイキイキとしていたことに衝撃を受けました。

ーー軽作業と違って十分なノウハウが必要な事業ですね。立ち上げから軌道に乗せるまでには苦労も多かったんじゃないですか?

製造ノウハウは先輩職人から伝授してもらい自分で研究することで、なんとかまかなえました。しかし経営は大苦戦。最初の3年間は赤字でしたね。

そもそも特例子会社を本気で黒字化させようとしている企業は少ないです。「障がい者雇用率を上げる」という義務が先に立っていて、採算度外視なんですよ。赤字は親会社が補填するから、障がい者の受け皿を担ってほしいと。何十人、何百人の障がい者に収益を上げさせようとすること自体、ものすごい労力ですからね。

特例子会社の実態を知ったとき、やる以上は黒字転換させたいなと思いました。一緒に会社を創って働いていく仲間にとって失礼なんじゃないかって。

だからリンクラインで作ったモノで、全員が生計を立てて行けることにこだわっていました。リンクラインはコムテックを超える存在になりたい。NTTでいうところのドコモ、イトーヨーカドーでいうところのセブンイレブンみたいにね。

障がい者25名が働く黒字企業の作りかた

神原さん

ーーリンクラインはどのような商品で収益を上げたのでしょうか?

『li’ili’i』(リィリィ)をはじめとする自社ブランドとOEMです。『li’ili’i』はフルーツアイスバーを模した石鹸で、フルーツのパーツから全て手作りしています。フルーツならではのいびつさがリアルで可愛いと好評で、現在も常に生産が追いついていない状況です。

ステッカーシール

OEMでは、キャラクターグッズなどを作らせていただいています。シャノンさんのイベントで配布する石鹸のような、ステッカーシール入りの石鹸は、BtoBの企業さんからご好評いただいています。透明度の高い石鹸や水に強いシール印刷は、リンクラインが独自で開発しました。

ーー特例子会社の黒転にはさまざまな要因が絡みますよね。効率化やクオリティ担保など、障がい者でも黒字を生み出せる職場は、どのように作り上げてきたのでしょうか。

生産効率を向上させるためには、全員にすべての作業工程を覚えてもらっています。石鹸工房は、日によって忙しくなるポジションが変わります。今日だとOEM製品の出荷作業が大詰めを迎えていますね。そんなときに、人員を必要なだけアサインできるよう、全員のスキルアップを実現しました。

ホワイトボード

各自が自分の役割を簡単に理解できるよう、オフィスに人員配置を示したホワイトボードを設置しています。

ーー『li’ili’i』をはじめとする高品質の石鹸が、障がい者によるハンドメイドなことにも驚きました。

クオリティ管理は徹底していますよ。障がい者とはいえ妥協はせず、職人として厳しい指導をしています。少しでも合格ラインに達しなかったら、やり直しさせる。この繰り返しによって、誰もが品質の高い石鹸を作れるようになりました。

消費者ニーズを掴んだデザインを研究し、高品質な石鹸をお届けしたことで、ブランドの認知度は瞬く間に広まりました。障がい者でも、やりがいのある仕事で黒字を生み出せると証明できたのです。

自社ブランドに力を入れ、石鹸作りだけで安定した収益を実現したい

商品棚

ーー会社としての展望を教えてください。

リンクラインは石鹸を主事業としていますが、親会社のコムテックから清掃業務を請負っています。掃除と石鹸の収益を併せることで黒字化しているという状況です。可能な限り、軽作業タスクを減らし、石鹸の収益を増やしていければと。

経営者としてはよろしくないのかもしれませんが、収益拡大よりも、メンバー全員が自信を持って働き、普通の暮らしができるくらいのお給料を自分の手で稼げることを重視しています。今後は自社ブランド開発に力を入れて、働きがいのある特例子会社として安定した黒字を創出していきたいです。