2月28

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『Webマーケティング』は、マーケティングに関わっている担当者であれば、平均点を採ることができるレベルの知識がある方が多いと思います。しかし『アプリマーケティング』については、まだアプリマーケットが立ち上がっていないこともあり、マーケターの中でも情報格差が大きい分野のようです。

今回取材をしたRepro株式会社は、アプリ解析・マーケティングツール『Repro』の提供を軸に、アプリの企画・戦略コンサルティング、アプリマーケティング支援など、モバイルアプリを成功させるためのソリューションをワンストップで提供している企業です。アプリ業界で認知や導入数を増やしていくためにどのようなマーケティング活動をしているのか、Repro株式会社マーケティングチーム マネージャーの 伊藤直樹氏に話を伺いました。

ーー 『Repro』はどのようなツールなのか教えてください。

『Repro』はアプリの分析とマーケティングがどちらもできるツールです。アプリ事業者がリリース後に考えることは、まずはアプリをインストールしたユーザーを定着させること、そしてマネタイズに貢献するユーザーの割合を増やすことの2つですが、『Repro』はそれら両方の難題を解決するサービスです。ビジネスモデルとしてはSaaSの月額課金型で、無料でも試せます。

まずアプリの分析としては、Google Analytics のような定量分析ができる機能と、ユーザーのアプリ内での行動を録画し定性分析できる機能があります。この2つを組み合わせることで、 定量的なデータだけではわからないアプリの課題を発見できるのがユニークな点です。

その分析結果をもとに、ユーザーに対してプッシュ通知の配信やポップアップ表示などのマーケティング施策が実行できます。例えば、「1週間で3回以上アプリを起動したユーザーにだけ特別なクーポンを出す」とか、「前日起動したけど今日起動していないユーザーにだけ、プッシュ通知で特定のメッセージを送る」といったことが簡単にできます。

最近はアプリの新規ユーザーを獲得するための機能も強化していて、特定のアクションを行ったユーザーの広告ID(IDFA, AAID)をFacebook や Twitterといったプラットフォームに送信し、広告オーディエンスとして登録できる機能を提供しています。例えば課金したユーザーだけの広告IDをFacebookでオーディエンス拡張することで、課金する可能性が高いユーザーだけをターゲティングして広告を配信し、ROASの改善が可能になります。

『Repro』の機能面以外での特徴は、ツール導入後のサポートを担うカスタマーサクセスチームの存在です。 『Repro』の使い方をレクチャーしに行くだけでなく、クライアントに寄り添って「どのようにしたらアプリが改善され、成長できるか」を共に考え、サポートをさせていただいています。このようなカスタマーサクセスチームの活動を魅力に感じて導入していただくケースも多く、現在は国内外合わせて4,500以上のアプリに導入いただいております。最近はKDDIやオムロンといった大手企業とのお取引も増えてきました。

認知から獲得までを網羅するフルファネル・マーケティング

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ーー どのような手段でマーケティングをされていますか?

啓蒙/認知層>興味関心層>比較検討層>既存顧客のファネルに分けて、それぞれマーケティングしています。

啓蒙/認知層向けには『マーケジン』や『日経 xTECH Active』といった大手ITメディアへの寄稿やオウンドメディアでの情報発信などを通じて「なぜアプリを作るべきなのか」「なぜリリース後の改善が必要なのか」というところの理解を市場に浸透させています。あとは大手企業の導入やアライアンスなどのプレスリリースも積極的に打っていますね。

そこから興味を持ってくれた層に対しては、毎回150~200人のアプリ事業者が参加し自社のアプリに関するノウハウを共有し合う大規模なイベントへの誘致やホワイトペーパーのDLなど、リードとして接点を作るコンバージョンポイントを設けています。そして当社や当社ツールへの理解が進み、充分にナーチャリングできた層に対してはツールについて学んだり個別相談会もある少人数セミナーへの参加やツールの無料アカウント登録を促し、クロージングまで持っていっています。

契約してくださった既存顧客にはユーザーミートアップの定期開催やクローズドなFacebookコミュニティの運営などを通じて、ツールの機能アップデート告知やクライアント同士で交流できる場づくりを進めています。

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▲定期開催している大規模イベント「Growth Hack Talks」は毎回100名以上が参加し、アプリの担当者がフランクに課題や成功./失敗例をシェアできるコミュニティになっている

ーー 組織体制を教えてください。

大きく3つのチャネルに分けてマーケティング活動を行っています。まずイベントの主催や展示会の出展、販促物の作成などオフラインのチャネルを中心としたチーム、オウンドメディア運営やリスティング広告の運用などオンラインのチャネルを中心としたチーム、そしてプレスリリースの配信や外部メディア対応などを行うPRのチームです。各チームにリーダーとなる社員が1人ずついて、その下にアルバイトさんやインターンシップ生がついています。各チャネルの活動管理やマーケとしての大きな方向性を示していくのが僕の役割です。

当社の提供するソリューションが多様化しているので、新しいソリューションにニーズがあると分かったら一気にそこにマーケティングリソースを投入することもあります。

例えば当社では昨年の秋頃からASO(アプリストア最適化)支援事業を本格化させたのですが、ASO支援のマーケットニーズが予想以上に高く、競合に対する優位性もあったので、事業を本格化させた翌月にはセミナーを実施したり、ASOに関するノウハウを伝える記事をオウンドメディアで毎日公開しました。この施策が功を奏し、立ち上げから数か月ではありますが、今では数十のクライアントをご支援させていただくまでになりました。

ーー マーケティング活動においてはどのようなKPI を見ていますか。

チャネル毎に見る KPI は数多くあります。 オウンドメディアであれば PVはもちろんコンバージョンポイントであるホワイトペーパーとメルマガの登録者数などをみますし、セミナーであれば事前登録者数や懇親会でセールス担当者が交換した名刺の数、その後の商談数、成約数など。

僕はもともとオウンドメディアの立ち上げをミッションに1人目のマーケティング担当として入社しているのですが、入社した2年前と比べると追うKPIはめちゃめちゃ増えましたね。ただ、細かいKPIも含めて数字は追いつつ、数字には現れにくいマーケットを掘り起こす活動も注力はしています。

潜在層を掘り起こすマーケティング活動

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ーー 経費精算ツールのように顕在化しているマーケットと、御社のように潜在層を掘り起こすマーケットの攻め方は全く変わってきますよね。

そうですね。特に非ITの業界ではまだアプリを持っていなかったり「アプリを改善したい」という発想まで至っていない潜在層の企業が多い状況です。なのでそのような潜在層に対して掘り起こしのためのマーケティング活動をやっているという状況です。

ーー アプリの分析・マーケティングのマーケットを作るために、アプリへの投資や新規開発のマーケットを作るところにも取り組んでいるのですね。

そうですね。当社にアプリを開発する部隊がいるわけではないので、企画開発段階からコンサルティングをさせていただく際はアプリの開発会社様とタッグを組んでいます。

また、元々プッシュ通知などのマーケティング面でご支援させていただいていたクライアントからアプリのフルリニューアルのタイミングでご相談を受け、当社のメンバーがPMとなって新規開発やリニューアルのプロジェクトを進めるというケースもあります。

ーー アプリマーケットを作る上で悩んでいる事を教えてください。

僕がずっとできていないと感じているのは、KARTE(カルテ)さんの『Web 接客』のような、当社のソリューションを表すわかりやすい言葉を作れていないことです。メッセージについては今も非常に悩んでいる部分です。

イベント開催のKPIはセールスの商談数

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ーー イベントの集客に成功されているようですが、要因はどこにあるのでしょうか。

Webマーケティング系の勉強会は多いのですが、アプリのマーケティングに特化したイベントやコミュニティがなかったので、その領域の開拓者になれたのが理由の一つにあると思います 。また、2016年2月に立ち上げたオウンドメディアもかなり知名度が上がってきていたので、メルマガの読者がイベントに来てくださることも多いです。

また、イベントの質が高いことが口コミによる新規顧客やリピーターの獲得につながっていると思っています。直近のマンガアプリの改善をテーマにしたイベントでは200名ほど集客できたのですが、「ここまで言ってしまって大丈夫なんですか?(笑)」と運営側が心配になるくらい、登壇者の皆さんが自社アプリの改善ノウハウをオープンに話してくださいました。イベントのコンテンツは社内でのディスカッションや登壇者との事前打合せを通じて決めるのですが、こちらも毎回PDCAを回しています。

ーー 1回のイベントでどのくらい商談に繋がるのでしょうか。

商談数目標はイベントにもよりますがざっくり参加者の1割で、例えば100名が参加したイベントでは10~15件ほど商談が生まれています。商談を経てご契約いただいた既存顧客に対しては、 プッシュ通知の運用支援やASO支援といったツール以外のソリューションをご紹介しています。既存顧客からのご要望はカスタマーサクセスチームに拾ってもらうことが多いですね。

『アプリと言えばRepro』と言ったら、ふわっとしたお悩みが増えた

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ーー 会社のフェーズによってセールスが問題だったり、マーケが問題だったりすることがありますが、現在はどうですか。

特にどのチームが課題ということはありませんが、組織が急拡大しているだけではなく、ツール『Repro』以外のソリューションも多様化しているので、新しく入ったメンバーがキャッチアップできる仕組みづくりには注力しています。例えば、ツールの新機能や新ソリューションに関する社内勉強会などは積極的に実施しています。

あとソリューションの標準化も意識はしています。『アプリといえばRepro』というイメージが浸透してきたことで、提供しているソリューションには無いふわっとしたご相談も増えてはきていて。そういった案件には当社のコンサルティングチームが対応させていただいているのですが、そこでご提案させていただいた内容が横展開できるものであれば、新たなソリューションとして誰でも売れる状態にするように心掛けています。

ーー 『アプリといえばRepro』というイメージが浸透してきたことによる、マーケティング面での苦労はありますか。

苦労は色々とあるのですが、オウンドメディアやリスティング広告などのオンラインマーケティングで言うと、意識しなければいけない検索クエリは常に増えています。例えば「アプリ 企画」といったアプリのリリース前に関する検索クエリはこれまではあまり狙う必要がなかったのですが、今後はそういったコンテンツも増やしていきたいと考えています。

ーー 今後広げて行きたい業界を教えてください。

非ゲーム領域のアプリにはかなり浸透してきているので、今後はゲームアプリの導入企業数を増やしていきたいと思っています。また、ここ1年で『(リリース後の)アプリの改善ならRepro』というポジションから『(新規企画・開発も含め)アプリといえばRepro』というポジションを築くことができつつあるので、非ITの大手企業にも更に広げていきたいと考えています。

将来的にはリアル店舗、Web、IoTなどアプリ以外のデータの分析、マーケティングにも対応していく予定で、そうなると『デジタルマーケティングと言えばRepro』といったポジションを狙っていくことになるかなと思っていますが、詳細はこれから詰めていくフェーズです。ただ、たとえ対応する領域が拡大しても「クライアントファースト、それを達成するためのトークストレート」という当社の行動指針はブラさずにマーケティング活動を行っていきたいですね。