2月28

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クラウドサービスの比較ができる『ボクシル』という比較メディアをご存知でしょうか。勤怠管理や営業・顧客管理など、さまざまな業務を効率化するクラウドサービスを掲載し、サービス提供企業と顧客のマッチングを図ります。

運営しているのは、2014年6月に設立されたスマートキャンプ株式会社。同社は、ビジネスメディア『BOXILマガジン』『ビヨンド』なども運営し、現在『BOXIL』は月間250万PVのサイトに成長しました。

今回は代表取締役 古橋智史氏に、サービスのマーケティングやチーム体制について、今後の展開について、お話を伺いました。

コンテンツ作成に裏ワザはない

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ーー御社の提供する『BOXIL』について概要を教えてください。

『BOXIL』は、法人向けクラウドサービスの比較・検索・資料請求ができるサービスです。基本的にはSaaSの比較サイトとして運営しています。

サービスの見込み顧客獲得から育成、営業、クロージング、フォローまで、社内人材のような役割を果たすプラットフォームです。

ーーサービスのマーケティングは、どのように行なっているのでしょうか。

基本的には、コンテンツマーケティングです。『ボクシルマガジン』という媒体でSaaSの選び方や使い方、事例などをコンテンツとして発信し、それが集客の柱です。

最近は『Beyond』というメディアでビジネスマン向けに、違った切り口での展開もはじめていますが、基本的には『BOXILマガジン』からの流入が9割くらいを占めています。

ーーコンテンツを作成するにあたって意識されていることはありますか?

愚直によいコンテンツを作ることです。コンテンツ作成に”裏ワザ”はないと思っていて。ただ、「よいコンテンツを作る」といってもそれは非常に難しいです。

しっかりとしたリサーチも欠かせませんし、どのようなキーワードで書くのかを決め、アウトラインを作成、ライティングをして最後に編集をする。そのような工程を全て分業制でプロセス管理しています。

その体制を構築するまでには、とても時間がかかりましたね。

また、狙ったキーワードで獲得したいユーザー層にヒットすれば良いですが、思っていたよりもユーザーが取れない、少し狙いとずれているときにきちんと分析することも大切です。たとえばCRM(顧客関係管理)サービスを探しているお客さんを獲得したかったけれども、流入してきた実際のユーザーが求めていたのはMA(マーケティングオートメーション)ツールだったり。

検索するキーワードが少し違うだけでも、ユーザーのモチベーションは結構違ってきます。ユーザーが必要だと思っているキーワードを分析して、PDCAを回しながら検証を続けています。

何回も何回も、分析やキーワードなどのチューニングを重ねて、更新を止めないことが大切です。

ここまでくるのに2年くらいかけました。メディア無くしては成り立たない事業だったので、諦めずに時間とお金をかけました。

ーーメディアが軌道にのってからは、どのようなことを意識していますか?

BOXILドメインが強くなってきているのため、本当によいコンテンツだけを発信するようにしているんです。「今日は何本出す」などのKPIを決めると質が落ちてしまうなと感じていて。

本数よりは、きちんとリード(資料請求)が発生しているか、発生したリードがお客様にとって価値のあるものかというところだけを見ています。

また今取り組んでいることの一つとして、資料請求をしていただいたお客様に対して、コンシェルジュが電話でヒアリングをすることです。親身に相談に乗った上で、最適なサービスを提供するようにしています。

ーー『BOXILマガジン』の競合は存在するのでしょうか。

あまり意識してないですね。事業ドメインでいうと、近い事業をやっていらっしゃる企業はありますが マーケティング手法として広告運用をメインにしていたり、SaaSの分野で専門的に運営している競合は、ほぼいない状況です。

今後は弊社のCMSを他社さんに提供し、メディア運営をしてもらう、ということも始めようとしています。

弊社のノウハウが詰まったCMSを解放することで、投資対効果が見込めるメディア運営をしてもらえるのではと考えています。

愚直なコンテンツ作りと情報収集

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ーー先ほどマーケティングの体制づくりに時間がかかったとおっしゃっていましたが、チームづくり、チームマネジメントの観点でどのようなことを意識していますか?

基本的にコンテンツは内製で、何回もチーム再編をして今の形になっています。特に僕らが展開しているBtoBのSaaSという分野は、華やかなものではありませんし、10人いたら全員が好きと言うものではありません。

しかし、その仕組みを面白いと思う人や、好きな人が入ってくるとやはりガラッと変わるなと感じます。今の編集長は、SaaSやIT、Webが非常に好きな人で、彼が入ってからは濃くなりましたね。そこからは、好循環でコンテンツ作成が回り始めました。

また、コンテンツ作りは作業にならないように、記事が公開されてどうだったか、流入がどれくらいきたかなど分析やフィードバックしあえる環境を作っています。

すぐに効果の出るものではないので、いかに愚直にできる人を採るかというのも大きいように感じます。

ーーミーティングなど、コミュニケーションできる場も多いということでしょうか。

そうですね。企画会議をやったり、有識者を呼んで社内で勉強会を行ったりもしました。

弊社は、外部のアドバイザーを積極的に呼ぶ文化があるので、コンテンツマーケティンぐに強い企業の方にアドバイスをいただいたりもしました。

ーー検索ニーズ、ユーザーのニーズを掘り起こすためには、どのようなことが必要だとお考えですか?

ユーザーを大事にする視点と、読まれるだろうという仮説を立てていく洞察力かなと思います。

はじめは僕もメンバーと一緒に記事を書いていたのですが、執筆の経験者は誰もおらず、手探りでとにかく情報量を集めるということはしました。

僕がとても好きな本に、水野学さんの『センスは知識から始まる』という本があります。その本の中には”良いものを知っていて、悪いものも知っていないと普通をわからない”というようなことが書かれています。

マーケティングというとセンスやコツでどう、みたいな話になりがちですがそれは全然違うということなんです。

自分の中に豊富な情報があったうえで、誰かのニーズにいかにはめていけるか、というだけかなと。

僕自身インターネットがとても好きなので、ツイッターやフェイスブック、ニュースサイトなどで常に情報収集はしていますね。

業界に詳しい人であったり、全然違う業界の方をフォローしてみたりすると、だんだんと網羅的にキュレーションされていくので、そういうことはずっとしています。

ーー今からコンテンツマーケティングを始めようという方に対して、何かアドバイスはありますか?

コンテンツマーケティングを始めること自体は、それほど難しくはないと思います。

しかし差別化が難しかったり、記事を書ける人が限られていたりという課題はあります。コンテンツマーケティング支援として始めても、なかなか続いているケースは多くないでしょう。

記事を何本納品します、というモデルだと結局ドメインが強くなければ順位は上がってこないので、クライアントからは「なんで上がってこないんだ」ということになってしまいますよね。

つまりコンテンツマーケティングはお金をしっかり投入するか、コンテンツマーケティングにこだわらなければBOXILに出稿するか(笑)、というところだと思います。

マーケティング施策として、SNSが得意なのであればそちらに集中するのも良いと思いますし、コンテンツマーケティングはじっくりお金をかけて取り組むべき手法だと考えています。

チャットコミュニケーションは、向き不向きがある

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ーーこれまでのマーケティング施策として、コンテンツマーケティング以外に取り組んだものはありますか。

サイトにチャットをおいてコミュニケーションをしたことがあります。

やってみて、チャットで売る商材には向き不向きがあることがわかりました。弊社との相性は良くなかったんですよね。

BOXILは、BtoBの商材を扱っているので、質問が複雑になりやすいです。そこでチャットツールを使ってしまうと、気軽に聞ける分、ライトな質問が来てしまい、あまり効果が出ません。ただ、ECサイトなどであれば相性は良いと思います。

BtoBの場合は、メールでエビデンスを残したり、電話をかけてヒアリングした方が効果があると考えています。

また、今までもっとも効果がなかったのは、本数でコンテンツを管理することです。毎月何百本コンテンツをだす、などとKPIにしてしまうとやはり難しいなと。はじめのうちはそれでも大丈夫なのですが、徐々にコンテンツの質にこだわる方向にシフトしていきました。

今後は、Web上の展示会場を目指していきたい

ーー今後、BOXILはどのように展開していく予定ですか?

現在は、SaaSに強いサイトですが、今後はBtoBのあらゆる業界・サービスにも展開をさせていきたいと考えています。

特に2020年のオリンピックの影響で、その年はビッグサイトで展示会ができません。そのような展示会で展示をしている業界・企業の方に対して、Webにおける展示会として展開していきたいと考えています。

さまざまなカテゴリの製品を紹介できる状態にしていくのが、BOXILの今後の目標です。

『BOXILマガジン』に関しては、本当に根気強くやっていくしかないと考えているので、成長し続けられるように仕組み化をしていきたいです。