12月20

2011年に創業した株式会社ナイトレイは、SNSユーザーのロケーションデータの情報を軸に、行動解析データの提供やコンサルティングに取り組んできました。

2015年からは、解析対象を訪日外国人に特化した「inbound insight(インバウンド インサイト)事業」をスタートさせ、インバウント市場に注力するさまざまな企業から注目を集めています。

5,000件を上回る実績をもつ同社の代表取締役である石川豊氏に、ロケーションデータ
解析の必要性や特性、「inbound insight」のようなツールをインバウンドマーケティングにどのように生かすべきか、話を聞きました。

オリンピック以降も伸び続けるであろうインバウンド市場。好機を逃すな

―― まず、ロケーションデータ解析とはどのようなものか教えてください。

ロケーションデータ解析とは、スマートフォンやIoT時代ならではのタイムリーで膨大な場所に関するビッグデータを解析しながら、そこからマーケティングに必要な情報を抽出・提供することです。たとえば、東京モーターショーというイベントを例にとると、モーターショーの来場者はどこから来ているのか、イベントが終わったらどこでご飯を食べて、どのようにして帰っていくのか。交通系ICカードのログだけではわからないようなタイムリーな行動情報を導き出しています。イベント来場者の興味関心や、会場の周りの人気施設ランキングなど、感情にまつわる情報までタイムリーに解析できるのです。

私たちはそのロジックと独自技術を活かし、訪日外国人の行動解析に特化した、「inbount insight」というサービスを提供しています。

―― マーケターはいま、インバウンド事業に注力すべきなのでしょうか?

インバウンド需要は、東京オリンピックが開催される2020年以降も伸び続けて行くと見込まれています。かつての開催都市である北京、ロンドン、リオデジャネイロのインバウンド市場も伸び続けています。国の政策としても2020年以降も上昇曲線の青写真を描いていて、このインバウンド対策で、予算をかけながら注力をしてアクションしていた地方都市の結果が、今、少しずつ出始めています。

具体的には、新幹線が通って交通が便利になった金沢、映画『君の名は』で注目された高山が伸びているように感じます。東京、京都、大阪は、何も施策をしなくても観光客が訪れる人気エリアです。福岡、広島、仙台、札幌などを筆頭に国内各地の地方都市にどれだけ観光客が訪れるサポートができるのか、インバウンドこそ、マーケターが注力すべき領域と言っていいでしょう。

企業や自治体が、正しい情報を元に事業戦略を立てられるようサポート

―― ナイトレイが提供する「inbound insight」は、どんなサービスですか?

どの国籍の人がどのような嗜好を持って、日本のどこに滞在し、どのような消費や行動をし、どのようなルートをたどるのか、を様々なデータを用いて解析し提供しています。

主力のSNS解析プランでは、訪日外国人のSNS投稿内容を収集し、独自のロジックを用いて訪問場所や国籍を解析しています。

テキストマイニングされた「大好き」「おいしい」「キレイ」という情報に「場所」という解釈が一つ加わるだけで、それ自体では意味を持たないデータが、旅行者のたどったルートを重ね合わせることで、なぜその地に行ったのか、その地域にどんな魅力があるのか、立体的な情報として浮かび上がってくるのです。

また、SNS解析データだけでなく、ナビタイムが保有する移動実績データや、NTTドコモが保有するモバイル空間統計など、外部データとも連携したサービス提供を実現しています。

タイムリーに消費行動やトレンドを把握するための「SNS解析プラン」、旅行周遊ルートを提供する「周遊データプラン」、地域ごとの消費額を解析する「訪日消費データプラン」のほか、地域別の滞在人数を提供する「統計データプラン」や「将来予測データプラン」などがあります。

―― アクセスするのは、どんなSNSですか? Facebookや中国のWechatも対象になるのですか?

Facebook、LINE、Wechatは解析対象にしていません。そもそも規約で解析できないようになっていますし、ユーザーも友だち公開のみで投稿するなど、クローズドの投稿は世の中にたくさんあります。

しかしTwitterなど、誰でも見られるパブリックなSNSも数多くあります。個々のSNSの利用規約やAPI規約に準拠したなかで、当社ではそのような公となっているSNS投稿を解析、解釈したのち、企業や地方自治体、旅行者や生活者をサポートするために、可視化されたわかりやすいデータとツールを提供しているのです。

無料プラン画面イメージ

――  どれくらいの事業規模、予算感が「inbound insight」を導入するのに向いていますか?

民間企業の場合、ある程度のエリア展開やビジネスの規模がある顧客が多いです。小売やホテルなど店舗であれば他店舗展開している企業が多いですが、訪日外国人向けメディアやソリューション提供企業も導入メリットは高いと思います。予算は50~100万円はご用意いただいています。
行政や公共機関の場合は、小さい市や町でも国の地域活性化の補助金などもあり、数千万円レベルの予算を確保しているので、自治体の規模に限らず実施しやすいでしょう。

―― 納期はどれくらいの期間でしょうか?

期間はどういうサポートをするかによりますが、だいたい3パターンに分かれます。

1つ目は、マーケティング・リテラシーの高い企業さんで、既に独自でデータを集められていて、予算をかけても他社のサジェスチョンが欲しい場合は、「inbound insight」のツールをご紹介するだけですので、すぐにでもご提供できます。

2つ目は、ツールではなく、解析データやレポートをお求めの場合です。データは1~2週間、レポートは2~3週間いただいています。

3つ目はインバウンド対策をやりたくてもデータ活用イメージが湧かないお客様の場合です。本格的なコンサルティング業務はナイトレイの守備範囲ではありませんが、企業さんと何をすれば結果が出せるのか、仮説を作り、戦略検討まで一緒に行うこともあります。その際は企業さんの状況に沿った期間になります。

マーケターは伸びる業種、地域に限らず、高い精度で現状を把握するべき

―― どのような企業が、ロケーションデータ解析を活用しやすいのでしょうか?

一つは、ホテル業界や全国展開している小売店、小売店に卸すメーカー、鉄道会社、旅行向けのWEBメディアなど、直接外国人旅行者と接している業種の方。もう一つは広告代理店や店舗向けシステムなどインバウンド対策ソリューションの提供企業です。

「inbound insight」についてお問い合わせくださるのは、中長期で戦略を立てている経営企画の方やマーケティング、リサーチの担当者がメインです。全国展開するコンビニエンスストアチェーンのお客様を例に挙げると、重点的にインバウンド対策すべき店舗の検討材料としてご活用いただきました。コンビニエンスストアの店内は基本的に、日本人客用の店舗設計、商品配置をしており、外国人対応の人員配置などはされていません。いざ企業内でインバウンド対策をするとなると、どの地域のどの店舗に予算を投下し、多言語メニューなどのソリューションに力を入れるのか。その戦略の見極めに「inbound insight」が使われています。

―― マーケターはロケーションデータ情報を活用したインバウンドマーケティングにどんな課題感を持って取り組むべきですか?

業態、地域、企業に限らず、どれだけ精度高く現状を把握しているかがカギだと思います。自分たちで考えられる力があり、データも集めようと実際にアクションを取られているマーケターさんだと、仕事がしやすいですね。インバウンド対策は、オリンピックを見据え、国や産業界としても注力している領域ですので、担当者が外部の知見をスピード優先でどんどん取り入れるモチベーションを持っているべきでしょう。